推薦コメント

 ★医療に支配されない見事な人生  中村仁一

 医療に支配されない、医療を利用した見事な人生だったと思います。ただ欲をいえば、極度の脱水時の点滴注射と最後の豊島病院の搬送が、彼女の意思(事前の意思表示も含めて)だったのかどうかは画面からは見えてきませんでした。死亡診断書を発行してくれる医師として網野医師がいたわけですから、在宅死が十分可能だったはずです。大体、最後は容態は変わるものです。でも自らの人生の主人公を全うされた姿は見事でした。(同和園附属診療所所長・『大往生したけりゃ医療とかかわるな』著者)

 ★『エンディング・ノート』よりいい  本田孝義

  『いのちを楽しむ』は必見の作品。僕は6年前に父を胃がんで亡くしているので色々考えさせられた。渡辺容子さんの「いのちを楽しむ」姿勢が見事。『エンディング・ノート』よりいい。(『モバイルハウスのつくりかた』監督)

 ★ひとりの女性の生き方  松原惇子

 この映画は、がん患者の闘病記ではない。容子さんというひとりの女性の生き方を追ったものだ。だから、観ている誰もが、自分の生き方を問われるにちがいな い。自分の命を人任せにしないで、納得するまで調べ、自分としっかりと向き合う容子さんの姿はすがすがしい。日本にもこんなに素敵な女性がいたの?と、うれしい驚きがある。自立した女性とは、まさに容子さんのことだ。治療の選択だけでなく、生き方の選択を学べる、明日からあなたの生き方が変わる作品であ る。(ノンフィクション作家

 ★自立した人間のドキュメント  志真秀弘

 容子さんの「自分が自分の病気の主人公になる」というのは、至言だ。病気についてだけではなく、人生全般にさえあてはまると思う。彼女のこの自立への志向があって、はじめて多くの友情が生まれ、彼女の闘病生活は支えられた。ラスト近く「早春賦」の朗々たる歌声が流れていく場面は、そうした友情のありかと力強さを物語って余りある。作品は闘病記録の枠組みをこえて、人間の生き方を問う、そして、友情は(さらにいえば連帯の感情は)どのように生まれるかのドキュ メントでもある。(編集者)